「………っや……、やめ……っ」
「やだ、やめない」
小声だが、有無を言わせぬ潔さで切り捨てられた。
必死に伸ばした腕も、真上に被さる肩をちっとも押せないまま、力なく震える。
「だめ……だっ、て………ちょ、一度、抜い……っ」
「だから、やだってば」
「……んぁ…っ!」
揺すりあげられると同時に、前を固い指先で抉るように弄られて、明日叶は喉の奥からそれまで詰めていた熱い息を吐きだした。

駄目、なのに。
殺さなきゃ、聞こえてしまう。

「センパイ、いつも言ってるでしょー。二人の時は、オレのことだけ考えてって」
小さな子供が拗ねるような声で、太陽が強請る。
けれど、確かに乱れた呼吸と眉をしかめた表情が驚くほどエロティックで、明日叶はたまらず目を閉じた。内からも外からも、煽られて仕方がない。
「センパイは、今はオレだけのものなの。誰にも渡さない」
腰を抱えていた腕が、今度は両肩をしっかりと抱きしめてくる。
確実に弱いところを突いてくる太陽自身の刺激と、すぐそこにいる“誰か”に気付かれるのではないかという妙な緊張感が、いつになく明日叶を追いつめていた。
固く瞑った目尻に自然と滲んだ涙を舐めとろうと、生温かな感触がぐりぐりと眼球まで捻じ込まれてくる。痛いどころか、そのざらついた先端が直接粘膜をくすぐる感覚が、逆に快感に繋がることを思い知らされたのは、もういつのことだったか。

「そもそもこんなエッチな顔で、潤んだ目で、オレのとセンパイ自身のとでびしょびしょにしたままで。どうやって開けるつもりなの?」
一言ずつ、明日叶を恥ずかしがらせるためにだろう、わざと区切って強調するように、太陽が耳元で囁いた。
先ほど明日叶を苛めた指先が、濡れた腹をことさら強調するように滑る。
その試みが成功していることは、太陽の言葉ひとつひとつに素直すぎるほど反応を返す接合部分から、とっくにばれているに違いない。

「そんなの許さない。こんな可愛いセンパイ、オレ以外のやつに見せるなんて、絶対」
「……んっ、ぁ……た、いよ……っぁん」
「カワイイ声……これも、聞かれちゃやだな」
「……っふ………」
独り言のような呟きののち、唇をふさがれた。
これでもう、吐息すら太陽に飲みこまれて外には漏れない。
自分にしか見せない強烈な独占欲を久々に目の当たりにして、明日叶は背筋が震えるのを感じると同時に、自分を閉じ込めるその手首を思い切り握った。





ノックの音は、もう止んでいた。









◆あとがき◆

桃色第三弾でした〜vv間が空いた上、恐ろしく短編ですいませんorz
今回は太陽の独占欲にスポットライトを当ててみました♪
Hの最中に、誰かが明日叶ちんを訪ねてくる…という設定で。
ええもう当然、太陽はそんなことでは離しはしないでしょう(笑)
それどころか、見えない“誰か”に見せつけるように却って激しく抱くタイプだと思う。
あらそれ萌えるわ☆(キラン)
……という妄想から生まれました。年下攻めの独占欲がたまらなく好物です。

2010.12.5 up







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