※最初からちょっと描写有りです。スクロールでどうぞ↓↓ 「……ぁっ、たいよ………待っ……!」 鼻にかかった甘い声が、室内に響く。 自分のものでないような艶めいた嬌声が耳に届くたび、恥ずかしさで身体が硬直する。 「…っぅ………センパイ、も少し力、抜いて……」 一瞬、苦しそうに息を詰めると、太陽は宥めるように鎖骨にキスを落としてきた。 「………んっ」 ぴくりと肩が跳ね、その反動で、一瞬腰から下の力が抜ける。 「………あぁっ……やっ……ぁ……!」 そのせいでこれまで以上に相手を深く誘い込むことになり、明日叶はたまらず目の前の身体に腕を回した。 「太陽……はっ……あぁ……た、いよ……ぅ……」 向かい合った首元に顔を埋めると、座ったままの状態でゆるゆると前後に揺すられる。 緩慢な動きだが、それだけに快感の波がやんわりと長く継続的に襲ってきて、明日叶の口からはもはや相手の名前と、意味不明な喘ぎ声しか出てこなくなった。 「センパイ……気持ちい……?」 耳朶を優しく噛みながら太陽が尋ねると、繋がった部分が瞬間、収縮した。 もう、何もかもが神経に触れてしまう。声すら。微かな吐息すら。 肩に顔を伏せたまま、無意識に何度も首を縦に振る。 「ん………うん……も……ぁぁ……気持ち……ぃ…」 「センパイ、可愛い……」 明日叶からその一言を引き出すと、太陽は急に腰を突き上げた。 「ああ……っ……!!」 突然の激しい動きに構えることも出来ず、ただ翻弄される。 強烈な痺れで力の抜けた下半身は、それでも中の存在を離そうとはせず、狂おしい圧力で侵食してくるそれを逃すまいと絡みつく。 「……っ……ぁ……センパ……明日叶センパイ……もう………っ……!!」 いつもよりずっと低い、掠れた声が鼓膜をくすぐる。 「あっ……あっ……はぁ……っ……んっ……ああっ……!!」 切ないほど荒くなる相手の呼吸に応えるように、明日叶も上り詰める。 最後の瞬間、明日叶はたまらず縋り付いたその肩に歯を立てた。 それでも高い、引き攣れたような悲鳴が小さく上がってしまう。 かり、と引っかくような刺激が最後の引き金になり、太陽もほんの少し遅れて絶頂を迎えた。 翌日。 午後のミーティングが終わると、明日叶は珍しい光景を目にした。 「ちょいとわんこ、こーこ。座んなさいよ」 「大丈夫っスよ〜。んな虫刺されくらい」 「おやおや、たかが虫刺され、されど虫刺されですよ?放っておくとバイキン入っちゃうんですからねぇ」 3年の眞鳥と太陽である。 何やら手招きして、太陽を長椅子に座らせている。 「どうしたんですか?」 珍しい組み合わせだな、と明日叶は近付いた。 すると、眞鳥が肩を竦めて告げ口するような口調で言った。 「明日叶からも言ってやってくださいよぅ。太陽、肩のとこ、炎症起こしちゃってるんです」 ほらここ、と椅子の背側から指を差す。 「え!?」 「だ〜から、痛くもなんともないんですから〜。大丈夫ですって〜〜」 情けなさそうに太陽は項垂れるが、心配になった明日叶は眞鳥の方まで回った。 「ほら、ね?」 太陽は、襟ぐりの大きな、ゆったりとしたTシャツをラフに羽織っている。 僅かに覗く右の肩口。そこを指す眞鳥の指の先には、確かに小さく赤く鬱血したような跡があった。 ――――が。 「太陽、あんた腕が商売道具でしょうが。大事にしなさいよ」 淡々と言いながら、眞鳥は目線だけで明日叶の方を見る。 そして―――ニヤリと笑った。 瞬間、顔に熱が上る。 「オレじゃぁ不満みたいですから?明日叶にでも治療してもらってくださいな」 はい、と小さな軟膏のケースを明日叶に渡すと、眞鳥は踵を返す。 「ま、眞鳥さん………っ……!」 猛烈な羞恥心に顔を伏せながら、呼び止める。 顔だけ振り向いた年上の人は、にっこりと、それはそれは綺麗に微笑んだ。 「その癖って、わんこの専売特許じゃあなかったみたいですねぇ」 では、と今度こそ扉を開けて出て行ってしまう。 「??眞鳥センパイ、何言ってんスかねぇ??」 きょとんとする太陽に、明日叶はやや声を荒げて命令した。 「ほら太陽!前向く!!肩見せる!!」 「…えっ!?な、何スか!?」 「動くな!!薬、塗るからっ」 「な、なんで怒ってんスかセンパイ!?」 「うるさいっ!!」 乱暴に薬を塗りこむ。 その指が微かに震えていることを、こいつが気付かなければいい。 「も〜、何なんスすか〜〜〜」 情けない声を出す太陽の後ろで、明日叶は赤い顔のまま固く誓った。 (今度から、シーツか何かにしとこう、絶対に) ――――と。
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◆あとがき◆ COUNT TEN様からいただいたお題より。 これはもうわんこしかないだろう!と、一気に書き上げたのがコレです。 太陽は身体付き丈夫だから、多少歯立てたところで大丈夫だよ明日叶ちん(笑) 2010.2.27 up |
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