己の胸元を温かく濡らすものに気付き、明日叶はうっすらと目を開けた。
重く鋭い快感に一定のリズムで貫かれながら、懸命に霞む視界を凝らす。
「……っぅ……っ……っく……っぁぁ…」
無意識に伸ばした手が頬に触れ、彼が泣いていることに気付いた。
項垂れるように覆いかぶさったまま、がむしゃらに明日叶の身体を揺さぶるその唇からは、涙と共に、うわごとのような甘く苦しげな声が零れる。
「……っぁ、ダメ……オレ、……ダ、メだ……っ、気持ちよす……っぎ……っぁ」
肩を抱く両手に、強く、強く力が込められる。
誰に聞かせるわけでもない、独り言のような呻き声。
震える指でその前髪をかき上げると、これまで見たことないような表情の太陽が、―――嗚咽しながら泣いていた。


「ごめん……ごめん、センパイ……っぁ、ごめ、……っ…」
謝罪の言葉を何度も口にしながら、眉間に皺を寄せて、額を汗に塗れさせながら。
それなのにその顔は、もう堪らないという風に、ただひたすら快楽に溺れていて。

「た、いよ………」
弱々しい呼び声すら刺激になるのか、内側でびくっと太陽自身が逞しくなるのが分かる。
「…やべぇよセンパイ……オレ、っオレ……」
「……ん……っ……」
「ぁぁ……どーしよ……っ、これ……オレ、死んじゃい、そ、……!」
はぁはぁと、空気混じりの甲高い息が、絶えず明日叶の胸元を温める。
既に相手の身体を思いやるような余裕も無くし、独りよがりとも言える滅茶苦茶な抱き方をする太陽に、自身も我慢しきれない吐息を吐きだしながら、明日叶は微かに笑った。


それでいい。
もっと、もっと俺を求めろ。


ぐい、と残る力全てで頭を抱きかかえると、低く鋭い悲鳴が小さく響いた。
角度の変わった刃に傷つけられ、明日叶の口からも引き攣れた音が零れる。
「…セ、ンパ……センパ、イ……明日叶、センパ……っぅ」
与えられた新たな刺激で生まれたものを、今度こそ霧散させるために動き出す。
涙と熱で朦朧としたその瞳は、もう何も見ていない。
ただ本能のまま、腕の中にある存在を抱き壊すだけ。
―――けれど。
がつ、がつ、と容赦など微塵も感じられない突き上げに、痛みよりも喜びが沸き起こる。


傍にいるよ。


ただそう伝えたくて、明日叶は力を抜いた。










◆あとがき◆

宣言通り、「誓い」その後でしたー。
……みじかっ…!これ、もうsssの扱いじゃない?(汗)
でも希望通り、熱で朦朧&感覚が敏感になってるせいで、抱いてる太陽の方がその快感に
翻弄されまくってもがいてる姿を書けたので、大満足でしたvv(←ほんとS)
滅茶苦茶に抱かれても、多分いつも程は体力ないから大丈夫だよ明日叶ちん!(何がだ)
『明日叶ちんとのHが気持ち良すぎて泣いちゃう太陽』ってのは、以前わたべさんとお話ししてた
時に生まれたネタでして、『攻めを喘がせ隊』隊長である雪織のアンテナを思いっきり
びびびっと震撼させたのでした(笑)本懐が遂げられて、大層楽しかったです♪
あー…明日叶ちんに溺れる太陽、可愛いすぎる。


2011.2.12 up







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