汗が伝う オレの額から、彼の背中へ 一連の、規則正しいその光景が やけに美しく見えて、いたたまれない 抱き締めるたびに、深く、抱き寄せるたびに この腕の中で小さく震える身体が、たまらなく愛おしくて どうしようもなく、恋しくて、痛々しくて 大事にしたいと、泣きたいくらいそう思うのに 同じくらい 粉々にぶち壊してしまいたいと 淡く光るこのキレイな肌を、オレの牙で血塗れにしてしまいたいと どす黒く、切ないくらい貪欲に、叫ぶ自分が確かにいる 顔が見えないのは嫌だと、不安がるその背中に、宥めるようにキスを落とす 途端、素直な奥底が、ひくり、と応えてくる ―――見せられるものか 知らないだろう? こんなオレを見たら、あなたはきっと だから 頼むから、今は もっと お願いだから、もっと 足りない まだ、全然足りないんだ この焦燥感はなんだろう この、焼き切れそうな切なさは、なんだっていうんだろう 満たされても、どれだけ満たされても 苦しくなる 腕の中に確かにあなたがいると、確認するたびに 息が、うまく吸えなくなる もっと欲しい もっと、もっと、―――お願いだ、から 何を? どうやって? これ以上、どうすれば 分からない、でも 誤魔化すように、振り払うように、ただゆっくりと 搔き乱したくなる、凶暴な欲求を死ぬ気で捻じ伏せながら ゆっくりと、そっと 優しいフリだけが、回を重ねるごとに、いやらしいほど上手くなっていく そんなオレの、付け焼刃な優しさに騙されて 甘い鳴き声をあげるあなたが、 どうしよう、やっぱり、たまらなく愛しくて 呼んでよ そう、 もっと、呼んでくれる? 何かが埋まる気がするんだ その声が、オレの名前を呼んでくれるたびに、ほんの少しだけど、何かが 戻るから ちゃんと、戻ってみせるから あなたが振り返って、オレにキスを強請る その瞬間までには、絶対に だからもう少し 泣きたいくらいの狂気に、想いに、 身を任せていても、いいかな |
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